バイクの個人売買で実際にあったトラブル事例6選!

バイクの個人取引では、お互い不慣れであるが故にトラブルに見舞われがちです。

「売ったバイクの軽自動車税が請求された」「買い主が必要な手続きになかなか対応してくれない」といったトラブルには、どう対処すればいいのでしょうか。

 

本記事では、実際にあった(よくある)トラブル事例を6つ紹介し、それぞれの予防法を解説します。

名義変更されずに自動車税が毎年きてしまう

名義変更しないままのバイクは売り主に課税される

バイクの個人売買で最も多いのが、相手がなかなか名義変更手続きをやってくれないトラブルです。

手続きしないまま放置していると、本来買い主が負担するはずの「軽自動車税」が、都道府県の把握する名義人である売り主の元に請求されてしまいます。

防止策・解決策│廃車手続きをしてから渡す

個人取引の成立後に売り主が軽自動車税を負担することがないように、バイクの個人取引が成立した時はすぐ「廃車手続き」(一時抹消手続き))をとっておくことをおすすめします。先に「一時的にバイクの使用を取りやめる」と届け出ておけば、買い主がなかなか名義変更手続きに協力してくれない場合でも、続けて税金を負担する必要はなくなるのです。

廃車になるとナンバープレートは返納することになりますが、買い主が名義変更手続きを済ませれば再度交付されます。売り主側では廃車手続きの際にもらった書類を大切に保管し、なるべく早く買い主に引き渡すだけで構いません。

廃車手続きの時期にも注意

注意点として「廃車手続きを取る時期」が挙げられます。

軽自動車税は毎年4月1日時点での所有者に課税されます。例えば3月に個人取引が成立した場合、同月31日までに廃車にすれば税金はかかりません。しかし4月に入ってしまうと、その年度の税金は売り主が負担することになってしまいます。

売却後のクレーム

バイク個人売買のトラブルは「念書」で予防を

買い主が後になってバイクにクレームをつけてくるトラブルも、バイクの個人取引ではよく見られます。買い主の「返品したい」「故障部分を直してほしい」という要望に応えてしまえば、必要経費を一方的に負担させられてしまいます。

 

【よくある売却後のクレーム】

  • 「乗ってみたらエンジンが故障していた。修理してほしい」
  • 「事前に説明は受けたけど、車体のキズの状態にやっぱり納得できない。返品したい」
  • 「車体のコンディションが悪く、事故を起こしてしまった。損害賠償を負担してほしい」

防止策・解決策│念書にサインしてもらう

後からクレームをつけられるトラブルを避けるため、返品や修理対応が出来ない旨の「念書」に買い主のサインをもらいましょう。もちろん、取引の最初の段階で「車体やパーツのコンディション」や「乗車歴」などについてきちんと説明しておくことが一番重要です。

取引成立を急がずに、しっかりと必要な説明をして購入判断してもらい、忘れずにノークレーム・ノーリターンである旨の書面を交わすことが大切です。

現車確認での転倒

バイク個人売買は「転倒した場合は買い取ってもらう」約束を

引渡し前のトラブルでよくあるのが、現車確認の際に転倒してキズや故障が発生してしまうケースです。

当初の約束通りの値段で買い取ってくれれば問題ありませんが、値引き交渉されてしまったり、キャンセルされてしまったりする場合があります。売り主としては到底納得できませんが、こうしたトラブルはどう防止すればいいのでしょうか。

防止策・解決策│転倒の場合は買取してもらう事を事前に伝える

現車確認での転倒は、相手が個人である限り避けられません。そこで、購入を検討してもらう段階で「転倒させた場合は買取してもらう」とあらかじめ伝えておきましょう。

一番良いのは、転倒に限らず「購入検討者が原因でキズや故障が発生したときは買取してもらう」としておく方法です。

ドタキャン

バイク個人売買のドタキャン対策は契約書で

取引前後のトラブルとして、現車確認の約束や買取契約を直前でキャンセルされてしまうケースが挙げられます。売り主の貴重な時間を無駄にしてしまい、

防止策・解決策│特約付きの契約書にサインしてもらう

ドタキャン対策としては、手付金と解除特約がある契約書にサインしてもらう方法が有効です。

事前にお金をもらい受けておき、買い主の責任でキャンセルした場合は違約金をもらうとしておけば、買い主に責任ある行動をとってもらえます。

 

【契約書の文例】手付金に関する条項

  1. 買い主は、この契約(※バイク売買取引のこと)の手付金として〇円を、表記の期日までに売り主に支払う。
  2. 前項の手付金は売買代金の一部に充当し、これには利息を付けないものとする。

【契約書の文例】解除特約に関する条項

  1. 買い主は支払済の手付金を放棄することで、この契約を解除できる。
  2. 買い主の違約により売り主がこの契約を解除した時は、売り主は受領済の金員(※手付金のこと)から違約金〇円を差し引き、残額を遅滞なく無利息で買い主に返還する。

ローン返済中で名義変更ができない

売り主がバイクローン未返済だと名義変更できない

買い主目線でのトラブルとして、購入代金を引き渡してから「売り主のローン返済が終わっていない」と気づくケースが挙げられます。

残債のあるバイクは「所有権留保」の状態になっており、法律上はローン会社の所有物になっています。これには「万が一返済が滞った時の担保」という意味が込められており、売り主の返済が終わらない限り車両の名義変更はできません。

防止策・解決策│事前に「完済証明書」を確認させてもらう

後から名義変更できないと気付くトラブルを防ぐため、購入検討の段階で「ローン返済は終わっているか」と売り主に確認をとっておきましょう。

中古バイクを取り扱う業者では、売り主の自己申告だけでなく「完済証明書」も確認するのが一般的です。同じように、個人取引でも売り主にお願いしてローン会社から取得してもらい、証明書を見せてもらうのが確実です。

バイクの代金を支払ってくれない

バイク個人売買の未払い対応はどう対処する?

再び売り主目線のトラブルの例に戻ると、購入代金を支払ってくれないケースも少なくありません。

全額支払ってくれない場合もあれば、分割払いの約束を途中から破られる場合もあります。こんなトラブルに巻き込まれないようにするには、どうすればいいのでしょうか。

防止策・解決策│手付金や未払い対応について取り決めておく

未払いトラブルに一番効果があるのは、前もって手付金や未払い対応について双方確認しておく方法です。トラブル発生時の管轄裁判所を契約書で指定するだけでも、買い手に責任ある対応をうながすメリットが得られます。

 

【契約書の文例】

”本契約に関する一切の紛争は、東京地方裁判を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。”

 

実際に未払い対応が発生した時は、まず内容証明書を買い手に送り、次に裁判所で①支払督促→②民事調停→③少額訴訟→④仮差押えや仮処分の順に進めます。

内容証明書を送るには当然買い主の住所が必要になるため、なるべく事前に運転免許証などを見せてもらっておきましょう。ネットオークションで取引するなら、購入者を本人確認済のアカウントに制限しておくのも良い方法です。

注意点!個人売買トラブルで警察は対応してくれない

バイク個人売買でトラブルが起きても、警察は基本的に対応してくれません。こうした人と人の契約に関するトラブルは「民事事件」として扱われますが、警察は生命や身体などへの危害に関する「刑事事件」のみを扱う機関だからです。刑法の詐欺罪(第246条)だと主張してみても、相手にどんな悪意があるのか具体的に証明できなければ対処してくれないでしょう。

 

警察に相談できないとなると、個人売買トラブルの相談先は消費者生活センターや裁判所になります。どちらの機関でもお互い話し合って解決する方法を優先するため、相手の態度しだいではなかなかトラブル解決に至りません。「当初の契約内容を証明できるものがない」となれば、被害に遭った人の主張を通すのは至難の技です。

以上のように、公的機関を頼っても効果の高い対処をとってくれるわけではない点を考えると、売り主・買い主ともに「自衛策」を最初からとっておくのがベストです。

まとめ

バイクの個人取引で起こるトラブルは、基本的に当事者で解決しなければなりません。万が一の時に泣き寝入りしないよう、しっかりと予防策をとっておくことが大切です。

【バイク個人取引で心がけたいこと】

  • 念書を作り、ノークレーム&ノーリターンに合意をもらう
  • 売り手は出来るだけ「バイクローンの完済証明」を提示する
  • 買い手が決まったらすぐ廃車手続きを済ませておく
  • 手付金や違約金について契約書で約束を交わす
  • 未払いトラブルに備え、買い手の住所と代金回収の手続きを確認しておく
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